カードローンを統計という視点で見ると常識が変わる?

テレビCMなどを見ていると、担保が不要で保証人も要らないカードローンが盛んに宣伝されています。

特に大手消費者金融は有名タレントを使った積極的なCMにより、そのイメージをクリーンなものにしています。

しかし、最近では規制のある消費者金融のCMに対して、規制のない銀行カードローンのCMの方が目立っており、数多くの利用者獲得に貢献しているようです。

いずれにせよ、消費者金融市場の様子がCMから活況であるかのようなイメージを持たせる状況となっています。

一方で、貸金業者の数は年々減少しているとの噂も耳にします。果たして消費者金融市場の実態はどのような状態なのでしょうか?

この記事では、貸金業者数の推移や、1件当たりの平均貸付残高や平均金利、貸付件数などを紹介し、行政処分された貸金業者数などの裏情報まで含めた解説します。

貸金業者数は増えている?減っている?

貸金業者が営業をするためには財務局に登録するか、各都道府県に登録をする必要があります。

平成11年3月末時点での登録業者数を見て見ると、財務局登録業者が1,195件、都道府県登録業者数が29,095件の合計30,290件でした。

しかし、平成17年3月末時点の統計を見ると、財務局登録業者数が762件まで減少し、都道府県登録業者数も17,243件の合計18,005件となっており、たった6年間で4割もの業者がなくなっています。

さらに5年後の平成27年3月末時点では、財務局登録業者数が299件、都道府県登録業者数が1,712件の合計2,011件で、平成11年3月比で15分の1まで減少しています。

背景にあるのは、2006年に成立した改正貸金業法施行され、貸金業者が守らなければならない法律が厳格化したことがあります。

その分不正な業者が減り、安心して利用できるようになったともいえるでしょう。

貸付残高が増え続けているという噂は本当?

最近は銀行カードローンが躍進しているというニュースが、各種メディアで頻繁に取り上げられています。

そんなニュースを見ると、消費者金融市場がどれくらい成長しているのか気になるのではないでしょうか?

どれくらい利用されているのかは貸付残高を見ればその様子をつかむことができます。

平成11年3月末時点では163,954億円でしたが、平成17年3月末には198,574億円まで増加しました。

しかし、平成27年3月末時点では60,148億円まで激減しているという実態があります。

報道にある通り、銀行カードローン自体は増進しているのですが、消費者金融市場全体で見た場合には貸付残高は減少しているのです。

この背景にも改正貸金業法によるルールの厳格化が影響しており、無理な貸し付けが減っているという状況が伺えます。

1件当たり平均貸付残高はいくら?

消費者金融市場においては、消費者金融業者も銀行カードローンも、貸付限度額500万円とか800万円など、まとまった金額の広告が打たれています。

中には貸付残高1,000万円を超える銀行もあり、多額の金額の借入ができる心強さがある反面、本当に返せるのかという不安がよぎる金額ともなっています。

では、実際に借り入れをしている人はどれくらいの金額を借りているのでしょうか?

大手業者の1件あたりの平均貸付残高は約54万円、大手以外の場合が約38万円で、大手と大手以外を合計した場合の1件当たりの貸付残高は約51万円となっています。

実は広告では大きな金額まで借入できるとうたってはいますが、平均すると地に足のついた金額という印象があります。

もちろん広告の限度額通りの借入をしている人もいらっしゃるでしょうが、あくまでも最大金額であるため、きっちりとした審査基準に基づく貸付をしていることが見て取れます。

《1件当たり平均貸付残高》

無担保業者 件数(件) 残高(億円) 1件当たり平均貸付残高
(千円)
大手 ¥3,993,604 ¥21,695 ¥543
大手以外 ¥952,869 ¥3,601 ¥378
合計 ¥4,946,473 ¥25,297 ¥511

※金融庁「業態別貸付件数、1件当たり平均貸付残高(平成28年3月末)」を元に著者作成

平均金利は何%?

消費者向け無担保ローンの平均金利はどれくらいなのでしょうか?

銀行カードローンも消費者金融カードローンも全て合わせると、1%台から18%まで、金利の幅が大きく、平均約定金利の実態も気になるところかと思います。

結論からいいますと、平均約定金利は15.60%(平成27年3月末)となっており、金融業者が設定している金利の中でも比較的高い金利となっています。

これは、借入金額と金利の関係性が大きな要因となっています。カードローンやキャッシングを行う場合には、借入金額が低いほど金利が高く、借入金利が高いほど金利が低く設定されます。

平均貸付残高が表すように、限度額に対して比較的借入金額が低い平均値であるため、金利の平均はやや高めとなっていることが分かります。

《平均貸付金利》

無担保業者 残高(億円) (構成比) 金利(%)
大手 ¥21,096 35.1% 15.7%
大手以外 ¥3,538 5.9% 15.0%
合計 ¥24,635 41.0% 15.6%

※金融庁「業態別貸付金利(平成27年3月末)」を元に著者作成

行政処分された貸金業者の実態

行政処分を受けている業者は年々減少しています。

行政処分はその程度によって、「業務改善」「業務停止」「登録取り消し」「所在不明者の登録取り消し」があり、財務局登録貸金業者と都道府県登録貸金業者ごとに処分が行われます。

平成17年度はこれらの内容を全て合わせて1,596件の行政処分がありましたが、平成21年度には243件まで大幅に減少、平成28年度にはたったの14件まで激減し、17年度比の約100分の1となっています。

先に述べたように、法律の厳格化により貸金業者数自体も減っており、その結果行政処分の数も比例して減っているようです。

まとめ

消費者金融市場は有名タレントを起用したCMにより、利用者が利用しやすいようなクリーンなイメージとなっています。

また、銀行カードローンの躍進により、市場自体が活況であるかのような印象もあります。しかし、統計データでその実態を見ると、市場全体はスリムになっていることが分かります。

これは改正貸金業法によるルールの厳格化で、金融業者自体が減少していることが要因です。貸付残高も業者数と比例して年々減少しているのです。

一方で、ルールの厳格化についてこれている業者が存続しており、行政処分の激減からもそのことが伺えます。利用者にとっては安心して借入ができる業界となっているといえるでしょう。

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