カードローン拡大により自己破産が13年ぶりの増加

2016年の自己破産申請件数がおよそ13年ぶりに増加しました。

債務整理の方法はいくつかありますが、その中でも最も借入の返済が難しくなった場合に行うのが自己破産です。

10年前や15年前は自己破産の件数が多く、借金に対する規制などがあり、年々減少傾向にありましたが、ここに来て増加した背景にはどんな事情があるのでしょうか?

実は銀行カードローンの躍進が自己破産者を増やしているのではないかという声が上がっています。

この記事では、自己破産の申請が増加した裏側と、銀行カードローンのかかわりについて解説して行きます。

個人の自己破産件数が前年比1.2%増

最高裁判所の統計によると、これまで減少傾向にあった自己破産の申請件数が、2016年に前年比1.2%の増加の6万4,637件となり、実に13年ぶりの増加となりました。

個人の自己破産の破産申請は、1990年代の後半に一気に増加し、平成15年(2003年)をピークに順調に減少して来ました。しかし、2016年になって12年間の減少傾向に終止符を打った形となっています。

近年の自己破産件数

自己破産の申請件数がピークだった平成15年は242,357件もの申請がありました。翌年からおよそ2万件から3万件の大幅な減少を続け、平成20年から平成22年は低水準ながら微減となっています。

平成23年以降も再び大幅な減少となり、平成25年以降は7万件を下回っています。

現在はピークの3分の1から4分の1程度の水準となっていますが、今後また増加傾向となるのではないかという警戒の声が上がっています。

《自己破産申請件数の推移》

申請件数
平成28年 64,037件
平成27年 63,856件
平成26年 65,189件
平成25年 72,048件
平成24年 82,668件
平成23年 100,510件
平成22年 120,930件
平成21年 126,265件
平成20年 129,508件
平成19年 148,248件
平成18年 165,932件
平成17年 184,422件
平成16年 211,402件
平成15年 242,357件
平成14年 214,638件

自己破産増加の原因は銀行カードローン?

自己破産の増加は過去の推移から考えると微増といえる数字かも知れませんが、警戒の声が上がっているのには理由があります。それは過去に自己破産件数が急増した背景と現状が類似しているからです。

過去に自己破産件数が急増した背景には、消費者金融からの借入の増加がありました。多重債務に苦しむ人が増え、自殺者も後を絶たなかったのです。

現在も銀行カードローンの利用者が急増し、各銀行は借入残高を急激に増やしています。

銀行カードローンの借入者の増加が結果的に自己破産件数を増やしているのではないかという因果関係がささやかれているのです。

銀行カードローンが消費者金融を上回る

個人への融資を無担保無保証人で行っている消費者金融市場は、これまで消費者金融各社によって市場を形成して来ました。

しかし現在は消費者金融よりも銀行カードローンの普及が目立ち、消費者金融市場において銀行カードローンが主役の座に付いています。

銀行カードローンは消費者金融よりも借り入れ審査が厳しいとはいえ、手軽に借り入れをできることは変わりなく、しかも消費者金融に比べると金利が低いため、借入申込者の増加につながっているようです。

消費者金融には規制がある

消費者金融と銀行カードローンの違いは他にもあります。

実はこの違いが自己破産者の増加の肝といわれているのですが、消費者金融には総量規制という一定の規制がありますが、銀行カードローンは総量規制の対象外となっています。

かつて消費者金融からの借入が急増した時、それにともなって自己破産者も急増したことから、年収の3分の1を超える借り入れはできないという規制が設けられました。

これが総量規制です。この規制が自己破産者の減少に貢献したといわれています。

しかし、銀行カードローンには総量規制がないため、結局のところ消費者金融からの借入増加で自己破産者が増えたことが、そのまま銀行カードローンに置き換えられるだけなのではないかと懸念されているのです。

過去の二の舞とならないように、規制強化すべきとの声や、一定の自粛をするという金融業者からの声が上がっています。

自己破産したらどうなる?債務整理の4つ種類の基礎知識

ところで、自己破産をしたらどうなるのでしょうか?

破産をしたら全てを失うというイメージを持っている人が多いようですが、自己破産はどちらかというと今後の自立支援の意味合いが強く、破産した個人がしっかりと復活できるように整えられた制度です。

しかし、自己破産以外にも債務整理をする方法は全部で4つあります。場合によっては自己破産をしなくても良いケースもありますので、カードローンを利用する上での予備知識として知っておきましょう。

1.任意整理

任意整理とは、融資してくれた債権者と話し合うことによって、今後の返済額や借金額の見直しをする方法です。司法書士や弁護士などに相談し、あなたの代わりに債権者と交渉してもらいます。

借金の減少、長期分割による月の返済額の軽減、払い過ぎた利息の還元など、借金の負担を軽減することが期待できます。

2.特定調停

特定調停は、調停委員に協力をしてもらいながら、簡易裁判所で債権者と借金の減額や分割払いの交渉をする方法です。

借金の減額が見込めますが、もしも利息を払い過ぎていた場合には、この手続きでは返還されないことや、裁判所に頻繁に足を運ばないといけないなど、デメリットが多いので、あまり選択されていない方法です。

3.個人再生

個人再生は住宅ローンを除く5,000万円以下の借金の一部のみを3年間で支払い、残りを免除してもらう方法です。

住宅を手放さずに債務整理ができることが特徴ですが、継続収入があることが要件となっています。手続きが複雑なので、司法書士や弁護士に相談すると良いでしょう。

4.自己破産

自己破産は裁判所に支払不能ですという申し立てを行い、借金を帳消しにしてもらう方法です。財産も全てなくなりますが、借金もなくなるので、一旦全てをクリアにして再スタートすることができます。

ただし、自己破産後一定期間は就けない職業ももあり、制限される部分もあります。借金の原因がギャンブルなどの場合には免除されないこともあるので注意が必要です。

利用者が考えなければならないこと

銀行カードローンは無担保無保証人で借り入れが可能で、借入金額によっては収入証明書すら提出せずに借り入れできるというとても気軽な金策手段となっています。

その手軽さから気軽に借り入れができるため、結果的に多重債務に苦しむこととなってしまう可能性があります。

銀行カードローンに対する規制や自粛の声が増えているという現状もありますが、利用者側も自分に降りかかることとして、計画的な利用ということを真剣に考える必要があるでしょう。

それさえしっかりとできていれば、本当に手軽で便利に利用することも可能だと思います。

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