銀行の消費者ローンに落ちた人はどこに行くのか?

銀行や消費者金融で融資を受けられなかった人は、どこへ行くのでしょうか。

そもそも、消費者ローンの審査に落ちる人は、どんなタイプの人なのか。多重債務に陥った人はその先どうなるのか。ローン利用者の末路について考えてみます。

高収入と生活費補てんは嫌われる

消費者ローンの利用者は多様です。もともと収入の少ない人、人並みの給与はあっても趣味や買い物で使いすぎる人、住宅ローンの返済を優先しているため当座のお金が不足している人など、借り入れの理由は様々です。

それまで地方銀行や都市銀行などの取材担当を15年経験し、消費者金融業界の取材担当になったのは1997年でした。

そこで得た情報はすべてといっていいほど、初めて聞くことばかりでした。当時、業界大手の貸出金利は平均27%前後。

上限金利は約2倍、54.75%でした。業界の実情を知らなかったので、ある大手の広報担当者に「金を借りる人は大勢いると思うが、逆に、貸さない人はいるのか」と単刀直入に聞きました。すると、こういう答えが返ってきました。

「収入の高い人と生活費にあてる人には貸しません」

この担当者が体験談を話してくれました。関東地区の地銀で支店長をしているという人がローンの申し込みに来ました。年収は約1200万円。

十分な収入があるのになぜ、と疑問に思ったそうです。

住宅ローンを組んでいるがきちんと返済しており、貯蓄もある程度しています。

これで金に困っているのはなぜと思いながら、結局断ったといいます。

「それだけの所得がありながら、我々のような業者に借りに来るのは、よほどのこと。まあ、ロクな使い道はありません。

奥さんに財布を握られて手持ち資金を自由にできない、というのは分かりますが、それでも後ろ暗いことで金が要るということ。

銀行では『何に使うんですか』と必ず聞かれるので、理由を聞かれない貸金業者を頼ってくるのです。

高収入の人が来ると、まず疑うのは浮気や会社の金の使い込みなど破滅的な事情のことが少なくありません。

そんなケースで貸すのは返済困難の比率が高いのです」

生活費が足りないから借りに来た、というのもアウトだという。

「ギャンブルに使う金が欲しい、というのはとても多いですが、この場合はほとんど審査を通ります。

もっとも、バクチがしたいからとはっきり言う人はまずいませんが、それとなく誘導させて理由を引き出せば、パチンコや競輪競馬、という返事がかえってきます」

実際、公営ギャンブル施設の周辺には消費者金融の支店が林立し、レースに勝った客はその足でケーキを持参し、意気揚々と返済に来るという。ではなぜ、生活費ではだめなのか。

「生活費というのは、最後の砦なんです。ギャンブルに入れあげる人でも、飯は食べます。

つまりギャンブルをしても、食事代すなわち生活費は最低限残している。だから、ギャンブルに使ってスッカラカンになっても、飯代くらいは手元にある。

その中から返済できます。しかし、生活費、食事代を借りに来た人は、もう何も残っていない状態でやってくるので、返済能力がとても低い。だから貸さないことが多いのです」

取り立てはいま、やっていない

消費者金融で借りると取り立てが厳しい、と昔は言われていました。

しかし、貸金業法で21時から翌日8時までは訪問することも電話やFAXで返済の催促をすることも禁じられています。

以前は、貸金業者が債権取り立て業者に依頼し、自宅を訪問して恫喝まがいの督促をしていたことも一部ではありましたし、貸金業の社員もきついことを言って督促していました。

しかし、業者が威嚇的な発言を一言でも漏らして返済を迫れば即、業務停止などの厳しい処分が下されるので、現在はなくなっています。

だいいち、「取り立て屋」に依頼して返済してもらっても、彼らに支払う手数料のほうが多くて割に合わない、というのが本音。

そんなお金を払ってまで返済してもらうなら、債権を処分して損切りするほうがまだまし、といわけです。

審査に落ちた人は、現金化、ヤミ金に行く可能性も

消費者金融や銀行で消費者ローンの申し込みをしながら審査を通らず、借りることができない人もいます。

申し込んだ時点で、他社における借入額が多い人は即座に落ちるでしょう。いまは消費者金融でも銀行でも、インターネットを通じた借り入れが主流ですので、資金使途は問わないのが一般的でしょう。

ギャンブルに使う金欲しさという人も相変わらずいるはずですし、消費癖のある人、そして本当に生活費に窮した人なども借りていると思われます。

残念ながら銀行でも消費者金融でも断られた人は、それでも様々な目的のために借金をします。

そこで彼らが行き着く先は、正常なルートではありません。クレジットカードのショッピング枠を悪用した「カード現金化」は2010年ごろに表面化し、いまでも存在しています。あらためて確認しておきましょう。

クレジットカードは通常、利用限度額が設定されています。限度額50万円ならショッピングで使えるのは30万円、キャッシング枠は20万円といった具合です。

キャッシングは厳しくなりましたが、ショッピングは総量規制の規制外。カードの現金化の流れはこうです。

Aさんが20万円借りたくて、インターネットで現金化業者に申し込みました。業者はAさんに、ショッピングの利用が可能な限度額をカード会社に確認してもらったうえで、20万円をAさんの銀行口座に振り込みます。

約1週間後、Aさんの手元に大量のビー玉など、ほとんど価値のない商品が送られてきます。

ビー玉の購入価格は30万円。カード会社は現金化業者に対して30万円を立替払いします。

Aさんは30万円の買い物をして20万円の現金を手にします。しかし決済が翌月一括払いなら、手元不如意の人は1回で30万円など払えません。

そこで分割して返すことになります。一見すると、分割して返済するキャッシングのように見えますが、総量規制の枠いっぱいに貸金業者から借りた人を付け狙うダーティビジネスです。

今年問題になったインターネットのフリーマーケット「メルカリ」も、構造的には同じです。

「5万円」を「6万円」で買えば、借りた人は利息1万円を負担し、5万円を出品した人は、貸金業者と同じで1万円の金利を得るのです。

現金化もフリマでも、銀行や消費者金融で借りられなくなった人が流れているという証拠はありません。

しかし、返済困難に陥っている人に貸してくれるところは多くはありません。生活保護や自治体の福祉貸付制度などはありますが、借金返済の原資には出ないのです。

そうした人たちがカード現金化に流れていったという推測はできるでしょう。

闇金や090金融など、荒手の違法業者の魔の手にかかってしまった人もいるかもしれません。

多重債務の次は任意整理、特定調停、自己破産

返済困難になる人の多くは、いくつもの借入先を持っている多重債務者です。

「金利だけ返してくれればいいですよ」という甘い言葉を囁かれて長期返済の泥沼にはまり、気が付いたら身動きの取れない額に達していたという人は少なくありません。

銀行を含めて貸金業者は、金利さえ返済してくれれば長期間利用している優良返済者とみなす傾向があります。

毎月の返済額が一定であるリボルビング方式での返済方法が、延滞ひいては返済困難に向かわせたことも否定できないでしょう。

また、「金利を返してくれる客はいい客」といった業者の論理が優先した結果の産物という側面もあります。

貸金業法は2006年に施行し、過払い請求も同年から急増しました。ひと昔に比べれば多重債務は減少したでしょう。

しかし、日本弁護士連合会の調べからも分かる通り、自己破産申請件数は年々下げ止まっています。減少のピッチが遅くなっている、つまり減ってはいない、ということです。

多重債務者が取る次の一手は、法的処理。自己破産は文字通り、借金は棒引きにされますが、破産宣告して選挙権など公民権の一時停止といった社会的な制裁を受けるものです。

その手前にいくつかの救済手段があります。
任意整理は、裁判所を使わずに、借りた人と貸した側の当事者間で借金について相談し解決を図ること。

多くは弁護士や司法書士が間に入ります。そして借入額を返済可能な額まで減らして返済するように取り計らいます。特定調停は、裁判所が借りた人(債務者)と貸した側(債権者)の間に入って調停し、債務整理案を作成します。

任意整理も特定調停も、減額してもらって可能な限り借金返済するという点で、生活者の自立を促すものといえるでしょう。

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